第四紀研究
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猪苗代湖底堆積物コアおよび仙台沖海底堆積物コアに見出された北海道支笏カルデラ起源のSpfa-1テフラ
長橋 良隆木村 純一隅田 まり池原 研片岡 香子中澤 なおみ
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2018 年 57 巻 2 号 p. 65-75

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抄録

本論では,年代的に接近する北海道支笏カルデラ起源のSpfa-1テフラおよび屈斜路カルデラ起源のKP-1(Kc-Sr)テフラ,仙台沖SO219A-GeoB16442-1コアに挟在する4層のテフラ,猪苗代湖INW2012コアに挟在するINW-A2144テフラと新たに記載した5層のテフラについて,層相記載とそれらに含まれる火山ガラスの主成分元素組成(SEM-EDS)と微量成分元素組成(LA-ICP-MS)を明らかにし,テフラの対比について検討した.その結果,仙台沖コア中の16442-A296テフラと猪苗代湖INW2012コアのINW-A2144テフラは,北海道支笏カルデラを給源とするSpfa-1テフラと対比されることが明らかとなった.Spfa-1テフラのAMS14C較正年代から,猪苗代湖INW2012コアの深度15m以深の年代モデルを修正すると,猪苗代湖が形成された猪苗代湖層上部基底の年代は49.6ka(+1.3ka/-1.4ka)となる.東北地方の湖成堆積物からのSpfa-1テフラの報告は本論が初めてであり,その分布域はこれまでより約300kmも南西方向に拡大されることになる.

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© 2018 日本第四紀学会
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