第四紀研究
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北海道の剣淵盆地と富良野盆地における32,000年間の植生変遷史
五十嵐 八枝子五十嵐 恒夫大丸 裕武山田 治宮城 豊彦松下 勝秀平松 和彦
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1993 年 32 巻 2 号 p. 89-105

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抄録

北海道北部の剣淵盆地と中央部富良野盆地で14C年代の測定と花粉分析により約32,000年間の植生変遷史を復元した. 25,000~32,000yrs BPはエゾマツ/アカエゾマツを主とし, グイマツを混じえたタイガ, 16,000~25,000yrs BP (極相期) は現在のサハリン北部に見られるステップとグイマツ, ハイマツを主とする疎林 (北部) およびグイマツ, ハイマツを主とするタイガ (中央部)が発達した. 12,000~16,000yrs BPは北部でグイマツが衰え, エゾマツ/アカエゾマツとカバノキを主とする森林が発達した. 10,000~12,000yrs BPに著しい寒さの戻り (剣淵亜氷期) があり, グイマツは極相期の規模に回復した. 8,000~10,000yrs BPにグイマツは絶滅し, 8,000yrs BPにコナラ属が急増して現在の森林が形成された.

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